高3 寮生日誌
◎四月二十九日
函館の到る所で満開の桜が見られるようになった。特に五稜郭公園の桜は言葉にならない程きれいな桜並木が広がっていた。あと、自分たちの部屋から見える寮の前の桜もとてもきれいだ。夜、自習室棟から見ると、「艶やか」という言葉が似合う。昼に見る桜と夜に見る桜ではまた違う趣があることをこの頃知った。
さて、受験生となった四月。本格的とまでは言えないが、毎日必ず三、四時間は机に向かうようになった。部活もあり、両立は大変だが、朝の時間を有効活用するなど工夫している。一・二年と積み重ねてきたこともあって、今のところ順調だと思う。しかし、余裕ぶって失敗した経験がたくさんあるので、決して現状に満足せず、常に目標を持って高みを目指したい。「高み」といえば、この間部活で函館山を登った。できるだけ止まらずに頂上を目指し、ソフトクリームを食べるという目標だったが、頂上に着くと売店が閉まってソフトクリームが食べられなかった。あまりにもショックで、しばらく放心状態でした。「俺たちの苦労を返せ」と叫びたい気持ちをグッと堪えて、おとなしく下でクレープを頂いた。そういえば二年生のときにチューターだったので、函館山の夜景見学会を楽しみにしていたが、コロナで行けなかった。お願いですから今度の夜景見学会に去年のチューターも連れていってください。本当に勉強頑張るので!!宜しくお願いしま~す(某映画の名シーンより抜粋)。
◎五月二日
高校三年生のGWともなると、さすがにやることがたくさんある。まずは勉強だ。これは全高三にとって最も大きな課題だが、GWの休みの雰囲気もあって、なかなかヤル気がでない。しかし、ここで頑張れば、きっと他の寮生とは差が出るはず。来週の土日にマーク模試もあるので、しっかり勉強する。前回の模試ではリスニング終了時と解答終了時が同時であることを知らず、多くの答えを問題用紙に書いていたため、解答用紙がスカスカのまま提出。結果はだいぶ酷かったです。他にも数ⅠAとⅡBとで偏差値が十五以上差があるという、いつも通りにいかない結果でした。今回の模試こそA判定、せめてC判定はいただきたいものです。
気付けば僕もこの寮に住み始めて六年目になりました。早すぎます。自分が高校生になった自覚が芽生え始めたぐらいです。大学に合格しても、しなくても、あと九ヶ月程度しかこの寮にいないと思うとアッという間でした。もちろん大学は合格します。
◎五月十五日
五月十一日に春の大会がありました。対戦相手は函館工業でした。春は優勝しても全道大会はないのですが、夏に向けて是非勝っておきたい試合でした。しかしながら、工業のバッテリーが強く、打ち崩すのは大変難しいので、正直、勝つのは厳しいと思っていました。ですが、我々も日々の練習を怠らず、一生懸命に努力しました。試合当日は、天候が悪く、ピッチャーにとっては最悪のコンディションでした。しかし、要所要所を切り抜け、何とか失点を一に抑えました。打撃の方は相手ピッチャーの制球を定めさせず、十四四死球をもらい、見事十一点を奪い、十一対一(五回コールド)で勝利しました。予想以上の結果で嬉しい気持ちもありましたが、工業の強さはこんなものではありません。浮足立つことなく、夏の大会に向けてしっかりと奮励努力していきたいと思います。
◎五月二十日
最近、つまらん(唐突)。リフレッシュしよう!と思っても「お前は何をしている?」という背徳感がつきまとう。それは何故か?自分で自分が分からないからだと思う。僕は成績が悪い。確かに僕自身が引き起こした結果だけど、四月からは真面目に取り組んでいるつもりだ。実際かなり勉強量を増やしている。しかし定期は上がらない(受験に使わないので全くやらないのもあるけど)。焦りは禁物と周りの人は言うけれど、自分を支える肯定感がない。甘えていると言われるかもしれないけれど、辛いものは辛い。前からもっとやっていけば・・・と考えても仕方ない。吐き出す先が見当たらないので、ここに吐く。誰か僕の合格への計画作ってくんねぇかなぁ・・・とか思いつつ、もう十八歳なのだから自分を信じてやっていかねば。でも逃げてぇなぁ。さぁ机に向かおう。たまには良い事あるといいなぁ・・・。
◎五月二十一日
テストが終わりました。非常に疲れました。自分は私立文系コースを選択しましたが、地獄です。理系科目ないだけましだけど、暗記、暗記、ひたすら暗記するしかない自分に疲れています。
そもそもこうして全教科を暗記して乗り切らなければならなくなった原因は中一の頃の自分にあると気付き、驚嘆しています。なぜ英語を真面目に受けなかったのか。もっと文法を理解すれば良かったのではないかということを痛切に反省しています。
中一の時に勉強しないと高三になって後悔すると何度も言われました。もっともその時の自分は全て聞き流したので、今付けが回ってきています・・・。言われてもなかなか気付けないことは多くあると思います。今の中学生に勉強頑張ってほしいと言いたいです(気付かないでしょうが・・・)。
あと定期テストを二回受けると、仮評定が出ます。今自分は、四.二しか評定がなく、最低ラインの四.0をいつ下回ってもおかしくないです。指定校で行きたい大学に行くため、ラストスパートを頑張ります。
◎五月二十一日
源、結衣おめでとう。お二人は逃げ恥SPからお付き合いを始めましたね。前から源は結衣のこと好きって言っていました。おめでとう。二人仲良く末永くお幸せに。
源、あなたとは「時よ」で初めて会いましたね。あれは五年前のことです。あのときの出会いは今でも忘れられません。結衣、あなたとは「ドラゴン桜」で会いましたね。あれは十六年前のことですね。今年はちょうど「ドラゴン桜」新シーズンが始まりましたね。これも何かの縁でしょうか。
まさか僕の知り合いの二人が結婚するとは思いませんでした。源から相談を受けたときは驚きました。ここで結婚できなければ、もう源は一生結婚できないと思い、すごく後押ししたのを今でも覚えています。結衣ちゃん、源はいつまでたっても下ネタが大好きな子供ですが、優しく見守ってあげてください。二宮君も結婚して、僕の周りの友人は皆結婚してしまいました。残るは将暉と僕だけとなってしまいました。コロナが落ち着いたら、新居に遊びに行かせてください。
Happy Wedding 友人代表 D・M
◎五月二十一日
五月二十日、あれから全てがおかしくなってしまった。新垣結衣と星野源の結婚という令和、いや、それこそ世紀を代表するような大ニュースが昨日報道された。あのニュースは多くの人を騒がせ、うちの部屋員もその例外ではない。
彼はあれ以来、新垣結衣と星野源との知り合いであるという存在しない記憶を持ち、まるで自然に語っている。もう一人の同室のルームメイトはテストでもっと勉強すれば良かったと後悔していたことで思い出したが、おかしくなった方の彼はOCで赤点を取っていた。それも彼の人格を破壊する一因となったのかもしれない。彼はしばらくの間金欠でどこにも外出していないのに結婚式で起きたことをまるで体験したかのように語ったり、その姿は精神異常者と言っても差し支えない。反省は客体を分析する認識行為と現国で習いましたが、本当に大切だと痛感しました。なぁM、帰ってきてくれ。