5月7日 高3寮生日誌より
現在の時刻5月8日0時9分。部屋員が目を閉じている中、私は昨日提出しなければならなかった日誌を記している。換気扇の音だけが響く夜、何を綴ろうか。 「生活スペースにおけるエントロピーの増大について」なんかはどうだろう。私の生活スペースの散らかり具合はラ・サール生、いや世の高校生の中でも断トツだ。誰かが言った。「熱力学第二法則によれば、孤立系におけるエントロピーは常に増大する。」エントロピーとは“乱雑さ”、つまり我々の寮生活において「部屋が散らかる」のは宇宙の摂理であり、不可逆的な流れである。 私は整理を試みたが、それは宇宙の膨張に抗う無益な労働であると悟り、その場をあとにした。 秩序を保つ努力よりも、混沌を受け入れる寛容さこそが、共同生活における真の「知性」ではないだろうか。 0時21分を示す時計が、私に本稿の完成を放棄させ、抗う意欲すら奪っていくのを感じる。 結論:寝る