高校三年寮 寮生日誌(8月29日)

 829日(月)

 あなたは化石に付着している土を全て取り払うべきだと思うだろうか。そう思う人は「化石に付着している土は邪魔だ」という勘違いをしているのであろう。

 あなたは、恐竜の化石と言われれば恐竜の骨格標本を思い起こすだろう。しかし、現代に残る恐竜の内部構造を知る手掛かりとなるものは骨格だけだという訳ではない。20年ほど前、ある研究グループが掘り出した化石の土を全く取り除かずに、そのままCTスキャンして内部構造を三次元画像にしようという試みを行った。その画像に現れたのは、何と心臓そのものだったのだ。その時まで不要なものだと思って捨てていた、骨格内部の土は実は生きていた時の形をそっくり残した臓器などの組織なのであった。

 この話を初めて聞いた時、私は大学受験が順調にいけばあと34年で研究を始める身として、思い込みや勘違いは重大な発見の邪げになるのだということを学んだ。逆を言えば、自分が、またはみんなが勝手に前提としていることを疑ってみることが何か発見があるかもしれないということだ。かなり感動した話だったので共有しようと思い、この話を書かせて頂いた。

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