高3寮生日誌
◎六月三十日
えー今日は昨日に引き続きテスト返却がされた訳なんですけれども倫政が一位取れるんではないでしょうか。他にもMが命を懸けて赤点を回避するなど、様々な物語が起きていました。
明日って七月なんですよね。そろそろ志望理由書を書き始めないといけないんじゃないかと。部活も引退してやることといえば筋トレ、読書、受験勉強の三つくらいしかないんですよ。夏休みは、小論文いっぱい練習しないとヤバいし、あと五分以内にプロテイン飲みたいしと、高三ってハードですね。今日親と話したんですが、荷物の整理も徐々にしないといけないし、中二から時間バグってますね。早すぎます。男子校に青春は無かった。地元帰ってもね、小学校の知り合いとすれ違っても気付かれないと悲しいなあと思い侍り。五分経ったんでプロテイン飲みます。やはり笑顔は大切。
◎六月三十日
ついに、この学校にもコロナウイルスがきてしまった。今まで一年以上感染者が出ていなかったのは本当にすごいと思うが、出てしまった以上、仕方ないところもあると思う。しかも感染したのが寮職員ということもあって、事の重大さが増している気がする。今回、改めて感染対策をしていても罹ってしまうということを感じた。しかし、大切なのは、この後どうするかだと思う。正直言って、自分も含め、最近コロナウイルスに対して油断しているところがあった。なので、しっかりと気を引き締めていきたいと思う。この後、感染者が増えないことを願うばかりだ。
◎七月一日
あれは前期第二中間試験が始まる二日前の午後のことだった。その日はパラパラと雨が降り、ジメジメとしていた。英語の授業が始まり、いつもと同じような時間が流れていたが、衝撃的な事実を知ることになる。英語科のK先生がポツリと「けいちゃんが来なくなりました」と一言つぶやいた。その瞬間、映画などでよく出てくる時間が止まるような感覚におそわれた。周囲の人々の存在が消え、自分が一人取り残されたような・・・。雨が降る音が際立って聞こえた。受験をした訳ではないが、受ける前から不合格の通知をもらったような気分であった。人生は本当に何があるか分からないということを改めて実感させられた出来事であった。恐らく、この出来事は、一生忘れることのないものであろう。そして、僕はショックに対する反動として、こんな気持ちが生まれてきた。それは「一般試験で慶應に合格し、推薦枠を取り返したい」ということ。まぁ今の実力では全然足りないし、他校の推薦も考えてはいるが・・・。もし一般を受けなくてはならなくなったら、絶対に合格を手にいれたいと思う。
◎七月一日
いよいよ寮にコロナが上陸してきた。今日は中学生がPCR検査のため休校だった。一方、高校生は食事の時間が変更になったりと、一部変わったところもあったが、大方、日常と同じだった。ただ、今後のコロナの状況によっては高校生にも影響の出る可能性も考えると、少し不安は残る。
ワクチンの接種はいつから始まるのか。そもそも本当に行われるのか、まだまだ不確定要素が多い状況なので、不安を感じていても仕方ないかもしれないが、受験を控えた高三の心情は想像以上の不安で一杯だと思う。
ともあれ、高三には受験まで落ち着いて勉強してほしいと思います。
◎七月二日
勝負の夏がやってきた。最近受けた定期テストがあまり良くなかったので、一層努力せねばと気持ちを新たに学習に励もうと思っている。しかし、模試で出た英文を読んで、あまりの難しさに途中で意気消沈してしまった。最近、授業の英文も難しくなって、予習しなければ追いて行かれてしまう。今のところ何とか食らいついているものの、気が抜けない日々が続く。私が英語で苦手なのは、長文の記述式問題と英作文だ。英語を直訳しようとして、変な文章になってしまう。英作文も細かいニュアンスの取り方に悪戦苦闘している。そもそも日本語と英語は言葉の使い方、言語の成り立ちも全く違うから、訳にも限界があるのではないか。日本語は日本語、英語は英語で理解すればいいのではないか。中学時代かわ和訳に苦しみながら、何とか英語の成績は上がってきたが、どうも記述になると、点数が取れない。これは練習あるのみだと思う。もしくは少し易しい英文から手を付けるのが有効かもしれない。今度やってみよう。英語自体は好きで、よく洋楽も聞く。今一番伸びしろがあるのは英語かもしれない。この夏は英語を重点的に勉強しようと思う。将来、TOEIC受験や留学を考えているので、英語は勉強して損はしないと思っている。そう信じて、とりあえず諦めずに頑張ってみようと思う。
◎七月二日
今日は部活の大会がありました。勝てば全道、負けたら引退という大切な試合の相手の投手は、昨年連合を組み、一緒に全道に行ったエースでした。結果は四対一で敗北。個人としては中飛、四球、中飛、投ゴロでした。
結果としては負けてしまいましたが、一生の思い出に残るような試合になったと思います。正直、自らの技術向上で悩むことよりも部員集めで悩むことの方が多かったです。それでも今日まで続けられたのは沢山の人の支えがあったからだと思います。部員が足りないときに助っ人として入ってくれた同級生や後輩、忙しい中、練習に付き合っていただいた品田先生、一緒に連合を組んでくれた函工や有斗の友人や先生方。本当に沢山の方にお世話になり、クラブ活動を続けられました。今日をもってクラブ活動は引退です。明日の放課後から三年間練習したグラウンドに行かなくなるのは名残り惜しいです。これからは自分の進路に向けてやるべきことをしっかりと行っていきます。三年間のクラブ活動に関わっていただいた方々に“感謝”。
◎七月六日
部活を引退して、さあこれから受験勉強だ!!そう意気込んでから二週間が経ち、ようやく昨日エンジンがかかった。本来の計画であれば、部活を引退した次の日から今まで部活をしていた放課後の時間を勉強時間として有意義に使い、朝も六時半には起きて朝点呼の七時半まで勉強して、全国のライバルたちに一歩でも近付いていくはずだった。しかし、現実はそう甘くはなかった。朝はまるでベッドに根っこが生えたように体は動かず、いちおう六時半に目は覚めるものの、結局起きるか起きまいか三十分くらい葛藤した末に起き上がり、起きてからもただ椅子に座るだけで、ボーっとしてしまう。放課後も「あー疲れた」と言って漫画を片手にベッドに寝転がり、気が付けば一時間が経っている。しかも、その頃眠気が体中を覆い、目覚めたときにはもう夕飯の時間。そんな生活を送っていたせいで、部活引退前に作った勉強計画表の半分も終わらなかった。やはり(自分だけがこうであるとは信じたくないので)人間というのは、あることをやろうと決めてから実行するまでに時間がかかる。しかし、僕の場合は一度エンジンがかかってしまえば、ルマンよりも走り続けられる。だから、とりあえず夏休みまでは、このエンジンはかかりっぱなしである(と願いたい)。夏休みも今年は一味も二味も別人になって目の色を変えて受験勉強に取り組む。ああ、今から夏休み明けの実力テストが楽しみだ。あれもこれもやりたいことは沢山ある。その一つ一つを確実に片付けていきたい。だが、まあ一つだけ心配事があるとすれば、この長ったらしい日誌を書き始めてからもう四十分以上が経つことくらいである。
◎七月二十五日
今日から講習が始まった。自分は1~2時限しか取っていないが、人が多いので教室の中がすごく暑い。いちおう朝ということで、かなり涼しいはずなのだが、なにせ自分の座っている場所が窓とは反対側のため、人の壁によって風が全く届かない。湿度の高さも相まってすごく肌に悪い。少し女性っぽい言い方になってしまったが、机やプリントが腕に貼り付くのは授業を聞いているどころではなくなってしまう。やはり人数が多いのが暑さの原因だと思うので、なるべく人は集まってほしくなかったが、講習が数学となると人が集まるのも必然で、我慢しながら授業を受けなければいけないのが辛いところである。6日間頑張っていきたい。